んがお工房の桜めぐり


2007年三春周辺の桜めぐりB
三春郊外の桜

2007年4月15日(日)

郡山市内で一泊して、翌朝、混雑する前にもう一度三春滝桜を見ようということになった。
昨日一日気温が高かったので、開花が進んでいるかもしれない。桜の花が咲くのはあっという間なのだ。少しばかり期待して、三春に向かった。

  三春の桜・観光ガイドHP
  郡山桜物語HP

  田村市観光ガイドHP



三春滝桜
昨日より若干開いているか。
手前の枝がふんわりしてきている。



菜の花は満開。
菜の花側の枝は少し寂しい開花状況。

まだ8時になる前に滝桜のすぐそばまで来たが、来てみてびっくり、昨日より渋滞している。昨日は9時前くらいだったが、駐車場のすぐ前まで行けたのに、今日は駐車場どころかそのはるか手前でストップした。
ただ、のろのろと進んでいるし、滝桜の駐車場は捌き方が上手いのでそれほど心配はしていなかった。
それにしても、滝桜を見るなら早朝というのがこれほど浸透しているとは思わなかった。まだ団体旅行の観光バスの出て来るかなり前の時間だが、一般の自動車がたくさん来ているのである。
さて、本日の滝桜。
昨日よりやや開いたかな〜?
ピンクが多いかな〜?
昨日より風が弱いのが救いだ。
満開の滝桜の大迫力まではいかなかったが、とりあえず滝桜を堪能できたかな、という満足感はあった。
  
相変わらずの観光客の多さ。

  小さく濃いピンクの花。

2日に渡って滝桜を見て、続いてはどこをどう回ろう。
この日の目的は、三春町の北にある塩の崎の大桜がメインである。塩の崎に行くついでにめぼしい桜を拾って行こう。
滝桜を出発して、目についた看板がある。実は昨日から気になってはいたが、先の予定があるために回るのをやめておいた桜の看板だ。
「不動桜」という案内は滝桜への道沿いあちこちにあった。
滝桜を出て、桜のための交通規制のためにぐるぐる回ってしまい、また滝桜に行く渋滞にハマってしまうという不手際をしてしまったが、それほどの時間のロスもなく不動桜にたどりついた。



上石の不動桜
樹齢約350年のシダレザクラ。
三春滝桜の子孫とも言われている。
桜の下の不動堂は寺子屋として
使われていたらしい。



かろうじて咲いている花。
案内版通りに進んで行くと、集落があり、ほんの数台とめられるスペースとこんもりと盛られたような丘の上に立派な桜の木があった。
まわりは畑で、そこだけ高くなっているのでいやでも目立つ。
丘の上の不動堂の屋根と桜の木がまるで一枚の絵である。
ああ、咲いていれば、不動堂を包み込むようにピンクの枝が下がるんだろうなぁ。
だが、まだまだ早い状態で、1分咲きにもなっていない。
ただ、近づいて見ると、太い幹がガッシリとしていて、桜の生きてきた年月を感じさせる。
  ゴツゴツとした幹。
丘の周りにはエンゴサクやもう終盤のカタクリなどが咲いていた。
  
カタクリはよく探さないと気がつかない。

不動桜を見たあとに塩の崎の大桜のある旧白沢村に行くには、三春町内を通る必要がある。
県道54号を北上し、三春町内のど真ん中に突き当たった時、正面にとても綺麗な桜が見えた。
そういえば三春町内の桜は昨日おなか一杯になってしまってたくさん見残している。時間もまだ早いし、ちょっとだけ見てみようか、ということになった。




お城坂しだれ桜
これは城址に向かう坂道から
桜の裏にある杉林の中にやや入って撮影。
下の赤い屋根が浪岡邸の一部。



下から見上げると、
降るように咲いている桜だ。



田村大元神社の桜
正確には、山門の写真です(笑)
境内の桜はちょっと開花が寂しい状況だった。


山門に向かう石段の脇には、
ソメイヨシノの並木。
再び役場隣の無料駐車場に行ったら、まだ9時前だというのに、すでに満車。再び細い坂を登って民族資料館下の駐車スペースに駐車した。
もう一度、ふんわりとした桜谷の枝垂桜を見る。昨日よりもさらにふっくらとしたようだ。青空のなか、やさしく迎えてくれる。
  本日の桜谷のしだれ桜。可愛い咲き方だ。
昨日は無料駐車場を出て右側に向かって歩いたが、今日は左側に向かって歩く。
まず、旧遠藤眼科の洋館の横の細い坂道を登って行く。
この坂道は、田村氏の居城である舞鶴城の城址へと続いているが、その途中にお城坂のしだれ桜というのがある。
この桜は本当に民家の裏にあり、坂からも見えるのだが、近づいて見るには民家の庭に入らなくてはならない。
民家(浪岡邸)のほうも花の季節はお茶を振舞ったりしていて、オープンな感じになっていた。
ただ、どうしても民家自体が桜の前になっているので、降るような桜の木を撮影するにはその屋根を避ける必要がある。近づきすぎるのも写真を撮影するのには難しくなる。
  民家と桜の位置はこんな感じ。
城址までは登らずに、坂を下りて、来る時に自動車から見えた綺麗な桜のピンクのあるほうに歩いた。
どうやらそれは田村大元神社らしい。
旧遠藤眼科のすぐ隣のごくごく狭い門らしい場所から入って行くと、意外に広い石段が上に続いていた。
その片側にソメイヨシノらしい桜の木があり、朝の空をピンクに染めている。おや、散歩に連れられて来たんだろうか。大きな山門の前に犬らしき顔が。かなり大きな犬で怖かったがこいつも大人しくて、飼い主と挨拶などして立派な山門をくぐった。
  秋田犬?でっかいワンちゃん。
境内にも桜の木があったのだが、枝垂桜のその木はまだ咲いていなくてちょっとがっかり。どうも自動車から見えたのは石段の桜らしかった。
高い位置にある山門からは遠い町並みも見えて、まだまだ先にも大きな枝垂桜の木があるらしいのが見てとれた。三春はこの季節は本当にピンクだらけだ。
だが、とりあえず三春町内の桜はここでやめておいた。
郊外にもたくさん桜の木があるのを思い出したのである。
今日のメインはそっちだ。
早々に駐車場に戻った。

三春町内を通り抜け、北に向かう。
ぜひ見たい桜が三春郊外にある。戸の内桜というのだが、正確な場所がわからない。
写真集にあった簡単な地図からすると、御木沢小学校の北にあるらしいのだが。地図上では平らな場所でも丘のつらなった高低差のある土地で、坂を登ったり下ったりしながらうろうろするが、さっぱりわからない。道行く人に尋ねてもわからない。
しまいに適当な小道に入り込んで、あ、あのピンク色がそうではないか、という場所まで行ってなお行ったり戻ったりうろうろした。



戸の内桜
足元にお墓があるのがわかるだろうか。
巨大な墓守の桜である。


すぐそばまで行って撮影すると
こんな感じになる。
この桜は遠くからのほうがいい。
どこをどう走ったのか、さっぱりわからない。しかし、写真集で見たとおりの桜の前にようやくたどり着いた。
大きな木である。ふわん、ふわん、と大きな枝垂の塊が2つ重なっているように見える。
まず桜の木のすぐそばまで行き、見上げてみたのだが、その特徴的な形がよくわからなかった。
桜から見ると、見渡せる遠くに一本道が通っているのが分かる。そこから見たほうが綺麗なんじゃないだろうか。
自動車で移動する。それほど時間はかからない。
田んぼの周りをぐるっと回る感じで桜を見通せる場所に到着。
期待どおり背後の山々から浮き出るような巨大な桜を見ることができた。
  民家の屋根と桜の大きさを比べてみて。
桜の根元まで行った時にも、遠くから桜を見た時にも気がつかなかったのだが、写真を見て初めてこの桜も墓守の桜なのだとわかった。
長野といい、この福島といい、桜は歴史を越えて墓を守っている。

戸の内桜のすぐそばに七草木桜、というのがあるはずだった。
ちょうど戸の内桜を見た場所が遠くまで見通せる高台だったので、桜のピンクは無いかと探してみる。
あった。戸の内桜とは反対側の下の方に伸びている道の向こう側に桜のピンクが見える。よし、そこに行ってみよう。
ところが、いざ近づいてみると、そのピンクは確かに背は高かったがそれほど見事な木でもなかった。だとしたら七草木桜はどこだろう。探す手立ては無いし、戸の内桜で迷ってしまったので時間も押していた。仕方が無い、七草木桜は諦めて、塩の崎に向かおう。
カーナビに塩の崎の桜の位置を入れて走りだした。



七草木桜
裏側に回って撮影。
お墓が隠れる上に、
こっちのほうが形よく見える。
樹齢約250年のエドヒガン。




天神桜
七草木桜からも見える名木。
こちらも樹齢約250年のエドヒガンだが、
七草木桜よりピンクが濃く見える。


道路から見上げると、
足元の祠が見えない。

ところが、その塩の崎に向かう道の途中に立派な桜の木が見えた。
田んぼを挟んで少し道から入った高台の、どうやら墓の中にあるらしい。
墓の上を覆うように枝を四方に伸ばしている。
遠目にもはっきり名木とわかる桜の木だ。それが七草木桜だった。
  ご覧のように、墓守の桜だ。
お墓なので最初は遠慮して遠くから撮影していたが、だんだん近づいて、しまいには墓の下から回り込んで裏がわに行ってしまった。
裏側からのほうがレンギョウの黄色なども加わって、とても綺麗に見える。上手いぐあいにお墓も隠れてくれる。墓守の桜なのにお墓が邪魔だと言っては失礼な気もするのだが仕方がない。
と、その裏側から遠く向こう側にこれまた立派な桜のピンクが見えるではないか。あれも大きな木だぞ。
引き寄せられるようにそちらに向かった。
すぐ近くに公民館のような建物があり、そこに駐車できる。最初は下に走る道から撮影していたのだが、どうも桜の木に通じる踏み後程度の道があるのに気がついた。
その道を利用して桜に近づくと、小さな杭に天神桜と書かれていた。これは名のある桜だったのか。
足元に天神桜というからには天神堂なのだろう祠がある。
これはすごいなぁ。見上げるばかりの立派な桜の木である。
七草木桜が丸い感じのフォルムとしたら、この桜は四角だ。枝ぶりがとてもいい。またピンク色が濃く、青空にとてもよく映える。
なんだか儲けたような気がして何枚も写真を撮った。
  登って行くと、畑などがある。
さらにその場所から遠くにも背の高い桜の木が見えた。あれも足元に祠らしいものがある。ただ近づく道を探すのが大変そうだったので、その木は遠望でやめておいた。
  遠目に見えた大きな桜。
昨日の咲いていなかった船引の桜たちに比べて、この三春郊外の桜は本当によく咲いていてくれて、探すのが楽しい。ピンクを目指して走ると名木にたどり着く、というのは、桜めぐりの一番楽しい部分だ。ようやく今回の旅でそれを味わうことができた。





塩ノ崎の大桜
樹齢600年のエドヒガン。
写真ではわかりづらいだろうが、
一番下の根元に近い部分から
1本だけ枝が横に伸びていて、
伸びた先からも花が咲いている。

さて、塩の崎の桜は、有名木だけあって近くに行くとあちこちに看板か出ていて迷わなかった。
ちょうど天神桜から一本の道なので迷うほうが難しい。
天神桜から坂を登ったりして、道が坂のピークになるあたりで遠くに塩の崎の大桜を見下ろせる位置がある。
そこからだとおそらく安達太良山だと思うが、雪を被った山々と桜が重なって見えてとても綺麗だ。もっとも自動車の中だったので撮影できていないし、いったいどの道を走ったのかもさっぱりわからない状態なのでうまく説明できない。
塩の崎の桜もやっぱり道より高い位置にある。有名桜なので何台か駐車していて、坂を登って行くと畑の真ん中だというのにお土産を売っているテントが出ていたりした。
きっと近くに行っても山並みが背景にできると思っていたが、ぐるっと回り込んでみても山は背景にならなかった。
八分崎くらいだったが、先に見た天神桜のほうがみごとだったので、ちょっと印象が薄い。
どうしてこっちのほうが有名になったのかなぁ。樹齢のせいかなぁ。
道路を挟んで向かいがわに公園らしいものがあり桜並木もあるようだった。
桜が何本も植えられていて、お花見にちょうどよさそうだった。
  
大桜の左側に公園の桜並木が見える。


とりあえず、私が前もって調べて行きたかった桜には行き終えた。
あとは、このあたりの湧き水を汲んで帰ろう。比較的近い場所に子和清水という名水がある。だいたいの方向に向けて走ると、ちゃんと子和清水と案内があった。その途中に、内出の桜、と看板が出ている。なに、桜?
そういえば、昨日泊まったホテルにあった郡山市のパンフレットに載っていた桜の名木に内出の桜というのがあって、これも見たいね、と言っていたのを思い出した。惜しいことにそのパンフレットは夕食の時に忘れてきてしまったのだが。
これ幸いと案内に従って自動車を進めた。




内出の桜
樹齢約220年のシダレザクラで、
ウバヒガンの一変種、と説明されていた。
ウバヒガンはこの地方では珍しいらしい。
迫るように咲き誇る素晴らしい木だ。


すぐ近くまで行って、
横のベンチのようなものがある場所から
撮影するとこんな感じになる。




ウバヒガンという種類だそうだが、
葉っぱが肉厚だということで、
花はそんなに変わらない。





こちらは、子和清水の向かいに立っていた
背の高い桜。
福島にはこんな桜が無造作にある。

これが意外に距離を走らされた。ちょっとした小山を越えた、といった感じである。集落が見えてきて、おっ、あれが内出の桜かという大きな木がまず目に入ったがそれではなかった。
その木からちょっとだけ先に進んだ場所にあった。
これはすごい。まるでクラゲみたいにぶわっと枝を下げている枝垂桜である。
少し離れた場所に駐車スペースがあり、数台の自動車が駐車していた。
桜の名まえの杭があることはあるのだが、どうやってあの桜に近づくのかしらん。
  駐車スペースより撮影。
道成りに進んで行くと、民家と民家の間の細い道を通り抜け、あららら、本当に民家に入り込んでしまった。
民家のほうも心得ているらしく、アウトドア用のテーブルにお茶道具などを用意してふるまっているらしい。
  この民家の軒先をくぐって近づく。
その民家の納屋の軒下をくぐりぬけ、盛り土を踏み跡を頼りに少しよじのぼるような形になるが進んで行くと桜のすぐ下に出た。
ちょっとだけ広い場所にベンチなどがあり、説明版もしっかりついていた。
よくよく見ると背後の杉林を通り抜けて下に続いている道があるらしく、民家を通る必要はないようなのだが、ほとんどの桜見物の人は民家を通り抜けてしまうのだろう。
まだまだこれから開きそうな花の感じだった。もっと開いたらもっとこんもりとして、さらにクラゲみたいに枝垂れるのだろう。

さて、これで三春周辺の桜は見納めである。
あとは水を汲んで帰ろう。
道の角などに案内があったので、迷わずに子和清水にたどり着けた。
山の途中から湧き出ているような水で、これは格別によい水だった。
説明板によると眼病に効く清水らしい。郡山市民の水と触れ合う名所10選のひとつでもある。
  子和清水
  強清水と書いてこわしみず、というのはよくあるが、子和と書くのは珍しい。

  水は本当にいいお水でした。オススメ。
ふと見ると清水のすぐ近くにも背の高い桜の木。あの枝ぶりもきっと樹齢を重ねた木に違いない。
三春の周りは本当に桜だらけだ。ソメイヨシノよりもしかしたら別の種類の古い木のほうが多いのかもしれない。
また何度でも訪れてみたい土地である。
今回咲いていなかった桜たちの満開の時に。近いんだから何度でも。
春に桜が咲くばっかりに、我々は毎年福島を訪れることになるんだろう。

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