くろくまの滝
 2003年秋の東北その3 その4へ




くろくまの滝
午前10時に到着。
もう少し時間がずれれば、
滝の中央に虹が出るかもしれない。
岩にあたる水が変化して
とても綺麗だ。



大きさ比較。
私は滝見スペースの滝寄りに立っている。
10メートルほど離れているが、
飛沫が雨のように飛んで来る。




落ち口。
紅葉が見事だ。
滝のまわりは
特に美しく色づくと思う。




滝つぼ手前の岩を乗り越えて
見に行った虹。
くっきり出ていた。
教えてくださった滝好きさん、
ありがとう。




林道途中にある青岩も
紅葉のお化粧。
2003/10/12 くろくまの滝(85メートル)   青森県鯵ヶ沢町
まさか、今年このくろくまの滝に来るとは思っていなかった。まず第一のトラップである友人宅の宿泊のキャンセルと十和田湖近くの宿の満室状態、これから私たちは流されるようにくろくまの滝に近づいてしまった。
かろうじて取れた宿は能代市。一人素泊まりで4000円と予算より少々高いが仕方ない。ちゃんと冷蔵庫もお茶もついている綺麗な宿でした。
朝7時に能代を出発。ここにはやたらでかい松原があるらしいが、それはパスして国道101号線を北上する。ここで、ようやく気がついた。我々は白神山地の懐に入って行っているのだ。
実は宿を物色している最中にちょくちょく白神山地という言葉にはぶつかった。しかし、きっと近くを通るくらなのだろう、と思っていたのだ。つまり、われわれとは無関係の場所に白神山地があるものだと、どういうわけか私は思っていた。(名誉のために書いておくが、ダンナはちゃんと認識していたと思う)
ところが、101号線のあちこちに白神岳への入り口があり、くろくまの滝に向かう道そのものが白神ラインというではないか。あら、いやだ、わたしたち、世界遺産の只中に入ろうとしているわ。
現場に着いてから認識するとはとんでもないヤツである。そうか、世界遺産が紅葉しているとあれば、そりゃあ宿は満杯になるわなぁ。
さて、そのために行ったわけではない白神山地はすごかった。とにかく全山紅葉である。ブナの紅葉なので、まっかっかというのではなく、黄色である。が、緑色の山にはない明るさがあたりを満たしていた。
白神ラインは本当に白神山地のど真ん中を日本海から弘前に向けで貫通している道なのだが、約100キロのうち90パーセント以上は未舗装の道だ。この日は晴れていたので、あっという間に自動車が埃で真っ白になる。しかも、あちこちからブナの保水力で保たれた水が道に溢れていて、そこに突っ込むと泥となって跳ね上がる。自動車は泥でまだら模様になる。デコボコなので、中で人間が上下に跳ねる。気をつけていても車体は大きくゆれる。まずもって、自動車には最悪の環境の道である。ついでながら、中の人間の内臓にも最悪だし、運転手もかなり疲れる。あとで気がついたのだが、この白神ラインを使わずに国道101号をどんどん北上して、鯵ヶ沢町に入り、赤石川の河口から県道190号で赤石川を遡るほうが時間的にも自動車的にも人間的にも良好かと思われる。
ただし、この日は紅葉の最高の時で、ガタガタ道でも、どの方向を見てもため息が出るくらいの景色だったので、白神ラインを使って正解だった。
  

  
右も左もどっちを見ても紅葉。ため息が出る。
いいかげん自動車の揺れに体が慣れて来た頃、くろくまの滝への分岐点が来た。実は、国道101号から白神ラインに入る時に白神山地と暗門の滝への表示は出ていたのだが、くろくまの滝という文字は一つもなかったので、かなり心配していたのだ。見落として過ぎてしまったらマズイ。しかし、心配の必要なく、赤石川の橋と次の橋を渡るとややして、しっかり曲がる場所に案内があった。
もうすぐだと思ったら甘かった。まだまだずっと未舗装の道が続く。
途中何台も軽トラが止まっている。このとんでもない山道のさらに奥の奥に軽トラで来るとは何だろうと思っていたが、どうやらきのこ採りらしい。ブナの森にはたくさんきのこが生えているのだろう。しかも、よく新潟の山林で見るような入山禁止の立て札やロープは全くないから、地元の人には恵みの山々なのかもしれない。
そんな軽トラとすれ違いながら進むと、このわき道には幾つかの名所があるらしいことに気がついた。その場所その場所に立て看板が出ている。「青岩」という巨大な青い絶壁が見える場所とか、月影のながれだったかという名前の渓流とかがある。いちいち降りていられないので、青岩だけ見学。
  
青岩。そこだけ樹木がなくて、つるんとして見えた。

  
この山小屋、「白神さん家(ち)」との表札が出てました。ふ〜ん。
青岩からまたしばらく橋って、いきなり開けた場所に出た。そこがくろくまの滝の駐車スペースだった。すっかり舗装されていて、自動車もけっこう駐車している。なんとなくのんびりとした観光地になっている感じだ。え、こんなに綺麗な場所に出るの?みんな私たちのような苦労をして白神山地をぬけてくろくまの滝を見に来ているの?と思ったら、駐車スペースの看板に反対側に行くと日本海に抜けるという地図があった。おい、私たちは日本海から来たんじゃないのか?反対に進むとまたなぜ日本海に出る?それが前述した県道190号だったというわけだ。どうも、来る自動車を見るとだいたい全部舗装された道のようである。タクシーで来ている人もいたくらいである。
  
愕然とさせた看板。

  
遊歩道の案内。いくつかの滝を周遊できる。
さて、くろくまの滝。これは駐車スペースから徒歩で15分で行ける楽勝の滝である。が、前日、行くつもりもなく行ってしまった第2のトラップ「幸兵衛滝」のせいで足はボロボロだった。遊歩道に入るとすぐに滝見広場という高台でたぶんくろくまの全景を見下ろすことができる場所に出られると思われる道が出現した。滝好きとしては、そちらもおさえておきたい。よし、とそちらに曲がったが、いきなりものすごい登りになった。30歩ほど登って、やめることにした。足が動かない。さらにはこれから先も白神ラインのデコボコ道を行かなければならない。体力を消耗するわけにはいかない。
すごすごと戻り、くろくまの滝へ。こちらには大判のカメラを据えた人とカップルが1組先客でいた。
くろくまはすごい。滝つぼまで行ける。飛沫がしゃぶじゃぶ飛んで来る。まず目に入った所ですごいすごいと思いながら滝を見て歩いていたら、転んでしまった。カメラをぶつけたらしく、フィルターがぶっとんだ。
ヤバイと思ったが、その後もカメラは無事に動いています。あいかわらず私のカメラは丈夫らしい。ちなみにフィルターも無事でした。
ふと気がつくとカップルがいない。どこへ行ったかと思っていたら、岩を回り込んで滝に近づく所からびしょびしょのカメラを持って出てきた。
「滝つぼ、虹が出てますよ」
と、嬉々として教えてくれる。う〜む、かなりの滝好きである。
私はカメラが心配なので(ぶつけておきながら心配してもどうかと思うが)滝つぼには近づかないつもりでいた。が、虹が出ていると親切に教えてもらったからにゃあ、行かなくてはなるまい。
転んだ場所が痛かったが、岩を乗り越えて滝つぼへ。
おお、本当に岩で隠された部分に虹が出ていた。カメラが濡れるのもかまわずに撮影。それでも私のカメラは無事に動いています。偉い。
このくろくまの滝の先にさらに登ると第二、第三の滝を見ることが出来る場所に出ることができるが、とにかく足を温存したい。温存?何のために?
実は、我々は白神ロードに入った時点で、すでに第三のトラップにつかまっていたのだった。
交通
我々は本文の通り、国道101号から岩崎村で白神ライン(県道28号)を利用。しかし、どう考えても鯵ヶ沢町から県道190号を利用したほうが賢い。
県道190号で赤石川を遡る道にはしっかりした案内板が出ていて、迷わないらしい。
また、弘前市がわから白神ラインを利用する手もある。暗門の滝から先は未舗装になるが、津軽峠などを通るので、白神山地のエッセンスを観光することができる。
ちなみに我々は国道101号を白神ラインに曲がるあたりが午前8時半過ぎ、そこからくろくまの滝に到着したのが午前10時である。白神ラインはところどころにとても綺麗なトイレがあり、未舗装であることを厭わなければ、素晴らしいドライブコースである。スピードは出せないけどね。
リンク 鯵ヶ沢町

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