暗門の滝
 2003年秋の東北その4 その4へ




暗門の滝
これは一番奥にある第一の滝。
落差42メートル。
蒼い滝つぼが美しい。
最後に現れるしんがりの滝だけあって
大迫力である。



最初に現れる第三の滝。
ここにたくさんの人が溜まってしまうのだが、
それほど広い場所があるわけではない。
押し合いへし合いの
撮影大会である。



第二の滝。
実は私はこの滝が一番好きである。
なぜなら、右側の階段でこの
滝を登るのだが、
真横から滝を見ることができるのだ。
滝つぼの砂地も綺麗だった。




第一の滝、大きさ比較。
ただし、滝つぼは広かったので、
滝と私との距離はある。




第一の滝の滝つぼ付近。
岩盤に当たった水が
繊細な模様を描いている。

2003/10/12 暗門の滝   青森県西目屋村
何度も書くが一番最初のこの東北行きの目的の滝はせいぜい安の滝と岩手の不動滝、それと東北道沿いにある七滝の3つくらいだった。あとは、まあ、岩手の友人が案内してくれるだろう岩手の滝を1つくらい見られればいいだろうと思っていた。
しかし、のっけからいくつものトラップが用意されていて、私たちはいちいちそれにひっかかっていた。
今度の第三のトラップは、どちらかというとわざわざひっかかりに行ってしまったと言っても過言ではない。まず、日本海を走る国道101号から白神ラインに曲がる曲がり口に『白神山地』という表示があるのは頷ける。それに並んで『暗門の滝』というのがあるのはどういうわけだ。
そのはるか手前に百選の滝である『くろくまの滝』があるはずなのに、それにはチラリとも触れていない。
白神ラインを走ればそのうち案内が出てくるはずだと思っていても、ひたすら『暗門の滝』のみである。
そのうち山々を見渡せる場所に出て、そこにあった白神山地の地図を見て合点がいった。『くろくまの滝』は、わずかに世界遺産である白神山地からはずれているのである。もうちょっと秋田がわであったなら胸を張って白神ライン上で案内が出されただろうが、惜しいかな百選ではあっても白神山地の滝ではない。白神山地の滝といえば、『暗門の滝』なのである。
そうまで言われて行かないわけにはいかないではないか。
売られたトラップにはハマらなければなるまい。
『くろくまの滝』の林道から白神ラインに戻り、弘前方面に進む。まだまだ未舗装の道は続く。これでもかこれでもかどデコボコ道を行くが、時間が下ったせいなのかすれ違う自動車が多くなってくる。やがて、おおーっと声をだす場所に出た。な、なんとこの細い林道に観光バスが停車しているのである。しかも何台も。いったい何事だ?無知な我々はわけがわからなかったのだが、そこが津軽峠だった。そこには、白神山地を代表するブナの巨木マザーツリーがあるのである。しかし、だからといって、バスで来るな、バスで。
知らないから我々は止まらずに、『暗門の滝』へと急いだ。津軽峠から比較的すぐにこれまたおおーっと声を上げるくらい巨大な駐車場に出た。いや、ずっと林道を埃だらけになって走って来た身にはアクアグリーンビレッジANMONの光景はむしろ異様に見えた。
フルサイズの観光バスが10台以上。自家用車にいたっては大小200台はいただろう。レストランもあれば温泉もあり、子供の遊具も釣堀もあって、まるで遊園地のようになっている。
第一駐車場がいっぱいだったので奥の駐車場の隅にこっそり自動車を置いた。なにせ埃だらけ。他の自動車を見てみると20台に1台くらいは埃だらけの自動車がある。こいつらは『暗門の滝』よりも奥深く進んだのね、と親近感がわいてしまう。
恥ずかしい話だが、実は『暗門の滝』の知識は全くなかった。そこでアクアグリーンビレッジANMONで昼食をとりつつ、パンフレットを入手して調べる。げ、奥の滝まで行くのに片道1時間かかるのか。
ふと隣の席に来た若い女性がパンフレットを広げながら「どーするぅ?」「やっぱりここまで来たんだから行く〜?」などと話しているのを聞いてがぜん闘志がわいて来る。こんな女に「どーするぅ?」なんて言われて、滝好きが行かないわけにいかないだろう。
しかし、自動車の多さが何を物語っているか、私たちはまだこの時点では気がついていなかった。
第三のトラップは奥が深かった。まさか片道1時間もかかる滝にちょっと散策気分の観光客や団体旅行のバスに乗って来たおっさんおばさんが行くとは思っていなかったのである。
ものすごく甘かった。
わざわざここまで来たのだから、何かしら記念写真が欲しいのである。そのためなら、彼らは歩く。
なんと、滝までの道は大渋滞していた。
途中の幅の広い道はいい。歩みの遅い人たちを追い越すことができる。しかし、崖にへばりつくようにできている細い道はどうすることもできない。なにせ、人一人分もないのだ。行く人と帰る人がすれちがうこともできない。そのためにあちこちで止まって待つ必要がある。止まるものだから渋滞する。
だー、ストレスだー。
 
立派な入り口。白神山地の水も飲める。

  
 
遊歩道。左はまだ広いあたりの道。右は大渋滞の道。

実は次の滝の予定もあったので、2時間のコースを1時間半で行くつもりでとばして歩いていたのである。
最初に現れる第三の滝で大半が記念写真を撮影していたので、とりあえずざっと撮影だけして、先を急ぐ。ど、どひゃ〜。滝の高さををそのまま階段で登るのか〜。昨日の『幸兵衛滝』での疲労をひきずっている身としては辛いものがある。しかし、くじけてはいられない。幸い対向の人並みがないので一気に登る。
ついで、第二の滝が現れた。ここまで来る人は第三の滝の半分くらいにはなっているらしい。滝を撮影しようとしていると、女の子が2人滝つぼ付近で飛沫に濡れながらいつまでも遊んでいる。邪魔だとその場にいたカメラマンは全員思っていたが、とりたてて文句を言う人はいなかった。まあ、写真撮影をする人たちだって、歩く人にとってみれば邪魔でしかないし。
さらに滝の高さ分階段で登る。
 
真横から見た二の滝。水が落っこちてるーと、実感。

 二の滝の滝つぼ。脇の階段から見下ろしました。

 
こんなトンネルくぐります。
小さなトンネルなどをくぐると第一の滝である。この滝が一番落差があるらしい。さすがにここまで来る人は少なく、ゆっくり見ることができた。
どの滝も近くまで寄れて、飛沫を存分に浴びることができる。これが静かな環境の滝であれば申し分ないのだが。
それにしたって、観光滝というにはあまりにも行程が長いし、大勢の人を処理できるような遊歩道でもない。『暗門の滝』は、白神山地が世界遺産になったばっかりに不運な境遇を与えられてしまった滝なのかもしれない。
滝自体はそれ以前と変わらずに変化なく落ちている。ただ人ばかりが来ては去って行く。
私たちもまた、そのほかの観光客と一緒に足早に滝の前を去った。
いや、感傷にひたっているわけではなく、対向の人が来るとすれ違いできないから、人が来る前に細い所を通ってしまわなくてはならないのだ。実際、本当に苦労しました、この遊歩道。でも、これ以上拡張はしてほしくないし。やっぱり行った時期が悪かったと思うしかないだろう。ちなみに、所要時間は往復1時間45分でした。
さて、あとは東北自動車道に乗るだけである。ついでに寄れる百選の滝もあることだし。これはトラップでもなんでもなく、最初の予定通りの滝なんですが。泥だらけの自動車で弘前方面に急ごう。
交通
我々は白神ラインを日本海側から行ったが、通常のルートで行くとすると、東北自動車道の大鰐弘前ICからアップルロードを通って、県道28号に出て、目屋ダムのサイドを通り抜けてさらに奥に行く行き方が弘前市内も通らないので、一番楽な行き方だろう。『暗門の滝』の滝までは舗装された比較的広い道なので、運転技術が未熟でも大丈夫である。
『暗門の滝』のすぐ前にも駐車場があるし、少し先のアクアグリーンビレッジANMONにも巨大な駐車場がある。
『暗門の滝』は一番奥の滝まで遊歩道を1時間ほどかけて歩く。この道はかなり細く、またとても滑りやすい。間違っても気楽なサンダルなどで行かないほうがいいと思う。滑って沢に落ちかねない。季節によっては大量に観光客が殺到するので(笑)それなりの覚悟が必要である。
リンク 目屋観光協会 

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