2日目(8月12日日曜日)
万里の長城・明の十三陵
 午前6時半起床。ホテルのTVでは、NHKの衛星放送が見れるが、時刻が日本時間のため、7:30になっている。ホテルの朝食は、バイキング。洋食のメニューと和食のメニューが揃っている。昨日の夕食があるのかないのかわからないようなものだったので、つい、どっさり取ってしまい、どっさり食べてしまう。
  8時にロビーに集合。このホテルには、ざっと20人のJTBの旅行客がいて、それらが一つのバスに乗って観光することになる。ガイトさんは、梁潔(りょ・けつ)さん。ガイド暦2〜3年の若い女性である。大学で日本語を学んだだけあって、日本語は堪能だ。
 日曜の朝の北京市の風景は、想像したより都会だった。道幅も広く、高層ビルがいくつも立ち並ぶ。自動車の量もかなり多い。ただ日本と少し違うのは、自動車道路と平行して自転車用の広い道路があること。よく中国というと思い浮かべる自転車の大群というほどではないけれど、市民の重要な移動手段であることには間違いないらしく、自転車専用道路はこみあっていた。
 途中車窓より中国の50以上の民族の伝統的な建物のミニチュアを集めた施設を窓より見つつ(降りて見てみたかった。)万里の長城に向かう。高速道路を利用して1時間強であっと言う間に山がちな風景になる。ふと気がつくと山の端には石の塀が。もう万里の長城だ。
 我々が行くのは八達嶺(はったつれい)。完全に観光地で、ものすごい人である。中国各地からも観光に来ているらしく、修学旅行らしい一行がいたり、地方の農協(あるのか?)観光のような一行がいたり、とにかく混雑している。
 ガイドさんがチケットを買って、団体で中に入る。よく遊園地などにある腰でガッチャンと押して入る回転式のゲートを通って、中へ。いちばん奇麗に長城が見える位置で集合写真を撮る。これは、夕方にはもう手に入る。100元で長城の四季おりおりの写真と解説がついたアルバムになっている。解説の日本語がめちゃくちゃで笑える。
 写真を撮った場所から右に行くとなだらかだが長く、高い所まで行くことができる。左に行くと、急だが短く、すぐに終わってしまう。根性のない私とダンナは迷わず左にむかい、しかも途中で登るのをやめる。
 中国のひとびとは手に手にくだものやお弁当を持って、ピクニック気分で長城を登っている。おやおやと思ったのは、モモのタネだろうが、キュウリのヘタだろうが、ぽんぽんと捨ててしまうこと。おかげで長城はゴミだらけだ。考えてみれば、30年も前の日本もゴミはゴミ箱へ、なんて考えてもいなかっただろう。自然が勝手に土に返してくれると信じていた。でも、中国のみなさん、ペットボトルは土には返らないと思うよん。
 地球の重力を感じつつ、ものすごく急な坂をのぼり、所々にある狼煙台のような四角いスペースで小休止。振り返ると、反対側の長くて高い所まで行ける長城がとても奇麗に見える。写真を撮って、戻ることにする。
 戻るほうが怖かった。滑り台か、ここは、というほど坂が急でしかも階段になっていない。転んでもビデオカメラだけは死守するつもりで、しゃがみ込みながら降りる。
 集合場所は、国営のお土産屋。暖かいお茶を出してくれるが、頼む、つめたい飲み物をくれ。つい買ってしまったのは、おみやげでなくて、15元のつめたいウーロン茶。ペットボトルのデザインといいなんといい、サントリーのウーロン茶。おいしかったです。お土産もざっと見たが、イメージしているのより少々高い気がしたので、買わない。

 特筆は、八達嶺のトイレ。さすが全中国の観光地だけあって無料で奇麗な水洗トイレなのだが、なんと、冷房がついている。出入り口がよく工場などの搬出口でみかける透明のビニールののれんの長いようなやつで仕切られていて冷気が出ないようになっている。それくらいしないと、暑すぎることも確かなんだけど。
 帰りの駐車場に行く時に気がついたのだが、外国の観光客と中国の観光客は駐車場か違うらしい。一般の人達の駐車場からは、八達嶺の入り口に行くまでに露店の市場がずらっと並んだところを通る。そこでモモだのキュウリだのを買って、食べながら長城を登っていたのだ。カラフルなくだものが山積みされていてとても面白そうだったのに、我々はそちらには行かせてもらえなかった。
 八達嶺のそばには、なぜか「熊園」がありました。なんか故事がありそうだったが、ガイドさんの説明もなかったよ。
 万里の長城の観光も無事終えて、次は昼食。これがものすごく大きなお土産屋の二階でして。中国料理は回転するテーブルをくるくるまわして食べるというスタイルなんですが、そのテーブルに並ぶ並ぶ、これでもかこれでもか、と料理が出てきました。一応全部味見はした。味付けは、多分、日本人向けなんだと思う。おいしくいただけました。
 で、どちらかというとこちらがメインらしいお土産ショッピング。ここの会計は面白く、品物を決めると金額を書いた紙をまずくれる。それを持ってレジに行って、レシートを受け取ってまた品物の売り場に行って、レシートを見せて品物を受け取るというシステム。何度も行ったり来たりする必要があってちっょとめんどくさい。
 ここで我々は大半のお土産を買ってしまう。八達嶺のお土産屋よりも安かったです。値切れたし。同じツアーの中で頼まれたといって3万円もする漢方薬を買っている人もいました。効くんだってさ、肝臓に。
 胃袋も膨らんだことだし、次は明の十三陵。明代の皇帝のお墓が古墳としてあちこちにある所でして、私たちが行ったのは、その一つ定陵。ここには地下宮殿というのがある。ようするに皇帝と后の棺桶をおさめた石造りの洞窟なんだけど、大きいです。かなりの段数の階段を延々と降りたので、地下も相当な深い所のはずなのだが、なめらかに平らな石の壁と天井と今はゴム材で覆われているが大理石らしい床、すべて巨大。ホントに機械のない昔に作ったのかしらと絶句させられる。ピラミッドなら積み上げるわけだから、頑張ればできないこともないと思うけど、ここは、地下。穴掘って、石入れて、と考えたら、気が遠くなる
 ちなみに、棺桶や副葬品としての玉座も大きかった。中国にもお賽銭という思想があるらしく、コインや紙幣が保護用のプラスチックの覆いのすきまから投げ込まれていた。
 この定陵への入り口や駐車場の回りにちょうど季節がよくて、果物の露店がたくさん軒を並べていた。しかし、ガイドさんの指示によりじかに買うことは禁止。ガイドさんに頼んでバスの上でお金を渡して購入。
 中国の桃は、形は日本の桃とさほど変わりないのだが、固い。噛ると、シャクッとリンゴのような音がする。味はちゃんと桃なんだけど。つまり、中国でいう桃源郷の桃っていうのは、固い桃なんだね。玄徳が関羽と張飛と約束を交わした桃の林も固い桃を実らせるわけです。
 あとは北京市内に戻って、夕食か?少し時間が早過ぎやしないか、と思っていたら、またお土産屋に連れて行かれた。ここはお茶の専門店。熟れた手つきのお姉さんがまた熟れた手つきで中国茶の入れ方や作法等を実演して、いろいろなお茶を味あわせてくれる。新茶のウーロン茶とか、苦いお茶とか、甘いお茶とか、ジャスミン茶とか。新茶のウーロン茶は、ホントーに香りがよくて、ついお土産として購入。ここは日本円でOKでした。6缶も買って、おまけの小さな茶器をもう1セットむりやりつけさせた。これは、おまけなのにまことしやかな顔をして、姉の所にお土産として行きましたとさ。
 ほどよく日も暮れて、本日の夕食。北京ダックです。重慶飯店という北京で一番有名で大きな北京ダックの店に入った。いや、ビル全部北京ダック。我々だけで20人以上いたのだが、次から次へと主にJTBのツアー客が来て、100人以上が一室に入った。そんな部屋が1フロアに5つくらいはあるのか。しかも何階建なんだろう、かなり大きなビルだった。
 北京ダックはさすがに専門店だけあって、美味しかったです。甘めのタレが絶妙で、パリパリしたダックの食感はなんとも言えない。しかし、北京ダックの他は、昼に食べたのと違いがわからない中華料理だった。
 おなかも一杯になって、もう眠くなったのだが、まだ案内されるところがある。京劇を見せてくれると言うだ。
 着いた所は、天橋楽という所。一瞬東京ディズニーランドのホースシューレビューの中国版みたいな店の内部だ、と思う。我々は1階だったのだが、2階席もある。それぞれテーブルを囲んで舞台の伝統芸能を見るわけだ。さっき食べたばかりなのに、テーブルの上にはお菓子だのスイカだのが並んでいる。みんな食べたけどね。
 演目は、京劇の一部、歌、手品、雑技、武術などなど、みんな美味しいところ少しずつだった。見なくてもいいと思ったのだが、見れば見たなりに結構ハマりました。奇麗なおばさんが目の前で何にもないところから生きた鯉を出してくれて、鳩が出るよりインパクトあった。
 終わったのは、10時過。ようやっとホテルに戻る。
 この日は、夜にダンナの会社の同僚で中国出身の李さん(ちょうど帰国してらした)が北京のライトアップを案内してくれるとタクシーを走らせてくれたのだが、あいにくライトアップは10時までで、市内を一周しただけになってしまった。せっかく地元の方の案内があったのに、残念です。
 ホテルのバーで少し飲んで、李さんと別れて、12時過ぎに就寝。実に密な一日だった。


八達嶺入り口。カラフル。


米粒がみんな人間である。

かすんでいるが、長城。


こういう三角の旗があちこちではためいている。



昼食。皿の上にまた、皿。


明の十三陵、定陵裏門?。
地下宮殿は暗くて写っていませんでした。



北京ダックレストランのマスコット。
あひる隊長、こんなところに!


で、これが北京ダックの夕食。



京劇。濃いです。

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