![]() 安の滝 上段は繊細、下段は豪快に 表情豊かに落ちている。 滝つぼは浅く、ほぼ直角に 向かって右側へと沢になって 流れて行っている。 沢の対岸が滝を見るスペースだ。 ![]() 向かって左側に白糸の滝。 紅葉をはさんでのツーシッョト。 ![]() 本当に綺麗な上段。 つい紅葉に目が行きがちだが、 もっと水の流れに注目すれば よかったなぁ。 ![]() 下段にかかっていた虹。 |
2003/10/11 安の滝(90メートル) 秋田県阿仁町 紅葉の滝を見たい。しかし、お金がない。 先立つものの厳しい条件の中、私たちはふと東北に友人がいることを思い出した。3月に凍れるタロシ滝を見せてくれた岩手の友人である。岩手といえば不動滝。それに行きがけに安の滝も見ることができるじゃないか。 さっそく連絡して、一晩の宿を確保。10月の連休のプランは決まった。 と、思っていた。ところが、よんどころない事情で友人宅に泊まれなくなってしまった。それって、つまり、紅葉の滝もお預けってことなのか?もうすでに心は安の滝に飛んでいる。ここでやめるわけにはいかない。急遽ネットを駆使して、二人で素泊まり7000円ておさまる宿を物色。しかし、いったいどうしたことだ、秋田も青森もほとんど宿がいっぱいである。いや、条件が厳しすぎるのかもしれない。どうする? そうこうして、土曜日泊まる宿が決まったのは木曜日のことだった。このあたりから、紅葉の安の滝をめざすはずの滝めぐりが怪しくなってくるのだが… さて、10月11日の午前4時過ぎ、我々は新潟の自宅を出発した。秋田県に行くには色々なルートがあるが、安の滝へはどう考えても高速道路を利用できない。日本海沿いを北上し、山形県本庄から国道105号に乗るルートが多分一番いいだろう。途中、どういうわけかほぼ各駅停車で道の駅で休憩し、安の滝の直前にある道の駅「あに」でコンビニおにぎりの昼食を食べた。この休憩室に地元の人が撮影した阿仁町の滝の写真が展示されていた。とても美しい滝ばかり。しかし、安の滝よりも他の滝のほうが多い。思えば、これが宿の場所に引き続いた第二のトラップだったと言えよう。 安の滝に並んで、幸兵衛滝の写真があり、その解説に安の滝に負けず劣らずの素晴らしい滝とあったのだ。そうか、幸兵衛滝か。その滝の名前は私の頭にインプットされてしまった。 道の駅「あに」から秋田縦貫内陸鉄道沿いに県道308号に入る。鉄道から離れると道はぐっと狭くなり、安の滝に向かう林道に入るとさらに細くなって未舗装になってしまう。ここからはすれちがいも困難になる。 しばらく走ると道から山々が望める場所に出た。山が青空をバックに赤やら黄色やらの錦の模様を見せている。自動車が数台止まっていたので、我々も通行の邪魔にならない場所に止めて写真におさめた。と、その山の中腹に滝が見えるではないか。赤い山の木々のなか、しかし、存在感がある白い滝の姿。あれが安の滝か?いやがおうでも期待が高まる。 ![]() さらに自動車を進めると、いきなり自動車が何台も止まっている場所にでた。係りのおじさんがいて、安の滝第二駐車場と書いてある。どうも満車近いようなので、手近な止められるスペースに自動車を入れてしまった。駐車料金をとられるかしらん、と思ったが、無料だった。ふと見ると、600メートル先第一駐車場とある。おじさんは第一の状況を無線で把握して、あきしだい第一に誘導しているらしい。我々はさっさととめてしまったので、600メートル余計に歩かなければならない。 林道を600メートル登るとこんどは比較的きちんとした駐車場が現れた。満車である。しかし、すでに正午なので、帰る自動車もあるようだ。駐車場には大きなトイレもあった。 ここから登山道なのだが、まず急な坂をおりる。それから比較的なだらかな道を行く。第一と第二と合わせれば50台近くはいただろう自動車の数のわりには山道ではすれ違う人は少ない。それでもマイナーな滝よりは人と出会い、「こんにちわ」の声がかわされていく。 右手に沢を見ながら、今を盛りの紅葉の中を歩くのは気持ちがいい。あちこちに絵になる紅葉がある。 ![]() しかし、我々の目標は安の滝。途中で安の滝が姿を現す場所があり、思わず「わあ」と声を上げた。滝が紅葉をまとっている。遠望の滝もすごいが、このやや近づいた場所での滝もすごい。これは、滝のそばに行けばなおすごいことになるにちがない。 ![]() その予感は当たった。 最後の坂を上ると滝が全貌を現す。 正午近くの日光が滝の全てを照らし出し、しかも、虹までおまけにつけていてくれた。 これは、とんでもなく素晴らしい風景である。 空は雲ひとつ無く真っ青。錦の山々。滝の水は白く、岩盤は黒々としている。そして、虹は七色だ。 しばらくぽかんと口をあけて滝を見ていたと思う。 あまりにも秋の風景画のようで、現実に水が落ちているのが信じられないくらいだ。いや、その前に自分が立っているのが信じられないくらいだ。 ややして、デジカメを取り出して撮影し始めたが、こんなによい風景に出会って、どうしようもない写真しか撮影できていなかったら、どうしようと心配になった。心配は半分的中。虹が写っていなかった。どうもPLフィルターをきかせすぎて、虹か消えてしまったらしい。ああ、どうしようもない。いいもん、私の脳裏に焼きついているから。綺麗な写真はプロにまかせよう。私は滝の飛沫を浴びて滝に染まれればそれでいい。と、負け惜しみ。 ![]() ![]() 滝の横からさらに上に行く道がついていて、そこから降りてきた子供が、「あんなに高い所に行ってきたんだね」などと言っていたから、滝の落ち口を見ることができたらしいが、次の滝を考えていた我々はそちらには行かずに自動車に戻ることにした。 滝を振り返りつつ歩く。いや、次の滝もきっとすごいもんね。滝が見えなくなったら、我々の足はとても速くなった。 |
交通 我々は出発点が新潟なので、高速道路は利用できなかった。 本文中にもあるように、国道7号を利用して日本海沿いを北上。本庄から国道105号に入った。 地図で見たところ、もっとも近い高速道路のICは、おそらく東北自動車道「鹿角八幡平」だろう。積雪時でなければ、国道341号を南下し、かの「茶釜の滝」の入り口付近を通って宝仙湖のあたりで県道321号に入れば国道105号に出れる。右折して阿仁町を目指し、トンネルをくぐって出たすぐの道を右折する。 大きく「マタギの湯」の看板が出ているのですぐにわかる。まず「マタギの湯」を目指すように進めばよい。 右手に秋田内陸縦貫鉄道の線路が見えて、奥阿仁、阿仁またぎ駅などを通過する。鉄道はやがて道から離れて行く。釣りきち三平のイラストがある施設をいくつか過ぎると、道はいきなり細くなる。しかし、安の滝への林道はしっかり表示してあるので、曲がり口で迷うことはない。 林道に入ると未舗装になって、すれ違いが困難になるので注意が必要である。突き当たると駐車場になる。 駐車場からは徒歩で30分強で安の滝に到着する。 全般になだらかな登りであるが、山道なので、足回りはしっかりしていたほうがいいだろう。 |
|
リンク 阿仁町 |