塩原の滝たち 回顧の滝 滝見台からはかなり遠い所に見える。 が、落差があって、見ごたえは充分だ。 この日はダムが凍りかかっていて、 滝のみが動いていた。 滝見台にて滝を写すダンナ。 距離がわかると思う。 シンとした湖面に滝がうつっていた。 留春の滝 雪の中、簾のように落ちている。 白い風景の中では映えないのが残念。 雪が花のように木の枝についている。 吊り橋のそばにあった小滝。 ツララがあちこちにある。 布滝 箒川の本流の滝のため、 川の早瀬のように見えなくもない。 落差はないが、滝つぼは広く 水の量も多いので豪快だ。 滝見台より撮影中のダンナ。 手すりの間に布滝が見える。 布滝アップ。 本流がぎゅっと縮まって落下していく。 水音もすごい。 こちらは、「竜化の滝」の遊歩道 から見た布滝。 山との対比で大きさがわかる。 風挙の滝 竜化の滝の次に気に入った滝。 とにかく水の元気がいい。 ぴょーん、と跳ねている。 竜化の滝 写真では小さな滝に見えてしまうが、 とにかく落差のある素晴らしい滝だ。 この滝だけは、どんな写真家でも 大きさを表現できないと思う。 ぜひ、その目で見ていただきたい。 大きさ比較のつもりでダンナと滝の ツーショットを撮影したが、 結局滝が小さく写るハメになって しまった。 これは上段の直瀑のアップ。 向こうが透けて見えて美しい。 中段部分のアップ。 右に左に水が折れ曲がって落ちる。 |
2004/1/24 何年か滝を巡っていると、1年の一番最初に見る滝というのはけっこう重要になってくる。と、いうのも、その年の滝めぐりを占う滝の意味合いをもってくるからだ。滝をめぐるのは、ある意味賭け事に似ている。天候や水量、観光客の出足、その他もろもろの条件が揃って素晴らしい滝が見られるかどうか、行ってみなくては分からない。 そういう意味で、滝初めとも言える今年最初の滝はどこにしようか、今年に入ってからずっと検討していた。 まず候補は氷瀑になる百選の滝だった。事実、当日の3日前までは岐阜の平湯大滝に行くつもりであった。しかし、平湯大滝は国定公園内にあって、ライトアップは決められた期間にしかできず、その期間からはずれている1月23日にはライトアップされていない。では、袋田の滝にしようかと思ったら、数日前に氷はとけてしまったらしい。ここ2日の冷え込みでいくぶん凍ったかもしれないが、当日の気温は9度になる予報。我々が到着する頃には氷瀑は望めないだろう。 では、どこにするか。前日まで全く決まっていなかった。 まあ、去年日光の滝を見たし、今年も華厳でいいかな、という気分になっていたが、なんだかそれでは芸がない。では福島の滝などはどうだろう。雪深いかもしれないが、道路沿いのところなら見られるだろうし、凍っているかもしれない。 そんな発想で福島の地図を見ていた。間違いは、ここにあった。我々は福島の地図を開いていたのである。そこに、那須の塩原まで載っていたのである。塩原といえば、滝がたくさんある土地だ。地図にもざっと見ただけでもかなりの数の滝があった。 よし、名よりも数を選ぼう。 と、いうことで今年の滝初めは塩原に決定してしまった。福島の地図にも載ってるし、福島回りで行けば新潟からも近いじゃん。それに関東圏の栃木なら雪も少ないだろうし。 だから、それは、確実に間違いだった。ルートの取り方から言えば、日光よりも遠いのである。しかも、日光よりも北なのである。ああ、ここですでに今年の我々の滝めぐりの先行きが暗示されている。 さて、行く先も決まり、前日までの大雪がひと段落した新潟を出発したのが午前8時。どうせ翌日も休みなので、ゆっくり行くつもりで高速道路を使わずに国道49号経由で一路福島を目指した。雪はさほどではなかった。途中福島に来たことだし福島の百選の名水(磐梯西山麓湧水群)を汲んで行こうとして、雪に阻まれたくらいで、それほど困ったことはなかった。ところが、会津若松から国道118号日光街道を南下していくあたりから風景が変わった。道の脇の積雪が1メートルを軽く越えている。しかも、たぶん昨日とおとといだけで積もった量なんだろうなぁと推測できる除雪車の慌てぶり。あちこちでよくもまあこれほど除雪車があるもんだというくらい出動して雪を処理していた。もちろん除雪車にぶつかるたびに少々の渋滞になる。除雪車が出ていな所は圧雪がデコボコになっていて、カーステレオのCDもとんで聞き取れなくなるくらいの状況なのだ。当然、スピードなど出せず、予定もかなり遅れた。 遅れたが寄り道もした。この国道118号はかねてから行きたかった「塔のへつり」のそばを通るのである。せっかくだもの、行かなくちゃ。 行ってみて、笑った。塔のへつりの駐車場まではなんとか行けたが、塔のへつりそのものには行けなかった。雪である。土産もの屋のおやじが除雪していて、私たちに「その先は行けねえなぁ、危ねえよ」と忠告してくれた。吊り橋があるのだが、雪で埋っている。仕方なく対岸から景勝を見るだけになった。ま、珍しいものは見れたと思う。凍った「塔のへつり」めったに観光客も行かないでしょう(笑)(塔のへつりの写真はここへ) ふらふらしていたら、当の塩原に到着したのは、すでに2時近くになっていた。とりあえず温泉街を素通りして、道の駅湯の香塩原で情報収集。塩原の観光地図を入手して、再び国道400号を塩原に向かった。 しかし、まだ滝に行かずにふらふら日本一長いという吊り橋を見る。 渡るのに300円かかるというので、渡らずにただ見るだけ。長くても、あまり高度がない吊り橋なので、それほど感動はなかった。 それから、滝へ。 塩原には数え切れない滝があるが、中でも素晴らしい滝を塩原十名瀑という。それを全部見るのは、この冬の季節、無理な話である。とりあえず我々は箒川沿いにある滝たちだけ見ることにした。手始めは一番下流の「回顧の滝」である。回顧と書いて「みかえり」と読む。 かろうじて除雪されている「回顧の滝」の駐車場に自動車を止めて、さて、滝へ行こうとあたりを見回すと、滝への矢印がある。右はなだらかで200メートルある坂、左は急で130メートルですむという坂。しかし、雪の上に足跡があるのは右の坂だけである。選ぶ余地もなく右へ。ゆるやかに下って行くと、吊り橋が見えた。雪が積もっているが、それほど怖くはない。むしろ何も積もっていない吊り橋よりも怖くないかもしれない。 先に行ったらしい足跡の持ち主は、吊り橋の真ん中まで行って引き返したらしかった。全く足跡のない道を歩いて行くとすぐに「回顧の滝」の滝見台に着いた。滝見台の上にも全く足跡はない。つまり、この雪が積もって初めて「回顧の滝」を見るのが我々である、ということなのだ。なかなか気持ちがいい。 誰も歩いていない真っ白な遊歩道。 「回顧の滝」は、思った以上に大きくて美しい直瀑だった。シンと凍りついた塩原ダムの水面にサワサワと落ちている。周りの雪に滝の音も吸収されるようだ。ただ、鴨のつがいのガーガーいう声だけが響いている。これは、いい物を見た。今年最初の滝がこの滝とは幸先がいいではないか。 ついで、「留春の滝」へ向かう。「留春の滝」の駐車場までの道のりの途中に「仙ぜんの滝」「連珠の滝」などがあるが、自動車の往来が激しいうえに、両側に除雪された雪の塊があるので、とても徒歩では行けないし、駐車スペースも確保されていなかった。 「留春の滝」の滝への駐車場もあやうく見逃すくらいのスペースになっていたが、とりあえず駐車できた。出来たが、ここもやはり遊歩道には人の足跡すらない。どうせそうだろうと、覚悟はできていた。長靴で箒川へと下ること数分。吊り橋が見えてきた。「回顧の滝」への吊り橋よりかなり小ぶりの吊り橋で、高さもないので、楽勝である。吊り橋のすぐ脇に凍りかけた滝があり、これが「留春の滝」かと思ったが、少し先に岩盤をさらさら流れる滝を発見した。雪のためか水量が少ないが、かえって優美に見える。 吊り橋から滝までかなりのスペースがあるのだが、真っ白い雪の上を我々二人でさんざん荒らして撮影ポイントを探しまわった。この滝は緑の多い季節のほうが似合うのかもしれない。 吊り橋の上にも足跡ははない。 ぜいぜい言いながら雪の階段を登り駐車場に戻った。確実に体力はなくなっている。 次は、どこだ?地図を見ると布滝がどうやら近いらしい。自動車を進めると、あった、布滝と書いた駐車スペースが。 そこに書いてある案内を見ると、どうも布滝は遊歩道を延々と歩いて行く先に滝見スペースがもうけられているらしい。案内板の図は、今まで行った滝よりも数倍の距離を歩くと告げている。が、見た限りではそこからしか見えないように思えた。 布滝は唯一箒川の本流が滝になっている滝、これを見ないわけにはいかない。 行くか。幸い先に行ったらしい人の足跡はある。 完全にどうにでもなれという心境で歩き始めた。 ダムらしい建物の上を通って行く。 地図は距離としては、嘘をついていなかった。長い。しかし、行程については一言も触れていなかった。山を越えるのである。 かなり歩いたあとにいきなり山が出てきて、呆然となった。しかし、ここで諦めては、今までの努力が無駄になる。登りましたともさ、雪の登山道。 まあ、山と言っても小山程度で、実際には10分くらい登ればピークになる。頂上らしい場所からは対岸に「抛雪の滝」が木々の間から垣間見ることができる。 ここで我々はイヤな物を見る。先人の足跡がなくなっている。このピークで諦めて帰ってしまったらしい。「布滝」の滝見台へはまだもう少し先に行かなくてはならないのだ。しかも、イヤな予感も抱く。ここから対岸の滝が見えるしそのそばの国道が見えるということは、もしや、「布滝」も楽に国道から見られるんじゃないのか? しかし、とにかく進んだ。このあたりは雪国に住む人間の強みである。長靴以上の積雪でなければ行ける。ピークからそれほど下らずに滝見台に出ることができた。 滝見台の上も真っ白。 ふうむ、たしかに布滝のまん前である。が、滝見台からは対岸の国道が丸々見える。っつうことは、あそこから布滝だって丸々見えるということではないか。やられた。こんな雪の中、無駄に30分も歩いてしまった。往復にして1時間である。 布滝は、さすがに本流の滝だけあって、落差はないものの、迫力は満点。大音量をあたりに響かせていた。 冬にこちら側からの布滝の姿を見るなんて、たぶん我々だけだろう。それだけを満足の対象にしよう。 無駄に1時間をついやしたので、すでにあたりは薄暗くなっていた。残す所は「竜化の滝」のみだ。 「竜化の滝」の駐車場は、一番大きかったが、半分以上雪で埋っていた。とにかく通りの多い国道400号をなんとか渡って遊歩道に入る。この道は、国道を徒歩で通られると危ないからわざわざ山に退避させたような作りになっていて、体力だけが消耗させられる。だいたい、私たちは、一番国道沿いの「抛雪の滝」を「竜化の滝」と勘違いしていたのである。楽勝で最後の滝は片付けるつもりだった。が、「竜化の滝」は国道からかなり山の中に入った遊歩道の奥にあった。 辺りはすっかり薄暗くなってしまっている。 遊歩道を歩いていて、箒川の音がやけに大きいのに気がついてそちらを見てみると、しっかり布滝が見えた。ちくしょう。無駄に歩かなくても、ここからでも綺麗な布滝の姿が拝めるじゃないか。あとで塩原の滝を紹介しているサイトに行ってみたら、ちゃんとそのように紹介してあったので、前もって調べていない我々が悪いと言ってしまえばそれまでなのだが。 「抛雪の滝」の上を遊歩道は通って行くので、「抛雪の滝」をこの遊歩道から見ることはできない。「抛雪の滝」は、国道400号から直接見ることができるが、この季節、除雪後の雪が高く積まれていて、危険なために「抛雪の滝」がわに回ることができなかった。よって画像はない。 「抛雪の滝」を通り越して、遊歩道は沢沿いに山の奥に入って行く。それほど急なのぼりも無く進んで行くと、まず「風挙の滝」が出現した。それほど落差はないが、水量が豊富で、2段目にぶつかって激しくジャンプしている水がおもしろい。 こんな渓流の脇を歩いて行く。 真上から見た「風挙の滝」 さらに進むと「竜化の滝」の滝見台が見えて来た。どうして金網がはられているのか分からない橋で沢を渡り、滝のまん前に出る。立派な滝見台は滝つぼと同じ高さで、滝を見上げる形になる。滝までの距離は10メートルもない。滝つぼの端がすでに滝見台である。飛沫がどんどん飛んで来る迫力である。 金網ごしに滝見台を撮影 しかも、まず目に入る最下段から、回り込んで見上げるまで、色々な表情を見せてくれる滝なのだ。水があちこちにぶつかって変化している。 両側を岩に挟まれた間を左右に折れ曲がれながら落ちているのだ。落差にして130メートル。 どんな写真集を見ても、両側の岩のためか、小さな滝にしか見えない。この滝は実際に見てみるべき滝である。写真よりも圧倒的な迫力なのだ。もちろん、私の撮影した写真も全く説得力のない写真になっている。大きく、高く、美しい滝である。塩原に来て、他に何を見なくてもこの滝だけは見るべきである。滝に興味がなくても、遊歩道を歩かされた苦労をすっと忘れてしまうだろう。 さんざん雪の上を歩いてすっかり体が冷えてしまった。 締めくくりに塩原の日帰り温泉に入って食事をしたら、もう真っ暗。(温泉のレポートはここへ)あとは、一路新潟に帰るだけだ。行きよりも帰りのほうが、除雪車の努力のおかげで道路状況はとてもよくなっていたが、カチンコチンに凍結していた。安全運転と一部高速道路利用で、家に着いたのは10時過ぎでした。無事に帰れて、何よりだ。 滝初めの内容で今年の滝めぐりを占うとすると、毎度のことながら楽勝の滝めぐりはなさそうである。そして、毎度の事ながら事前の下調べもしないで出かけて、無駄な行動をすることが多そうである。しっかり教訓として下調べしよう。肝に銘じよう。 |
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交通 塩原温泉そのものである。東北自動車道西那須野・塩原ICを下りて、案内通りに国道400号バレーラインを進むと県道30号と交差する交差点に道の駅「湯の香塩原」があるので、ここで地図など入手するといいだろう。 あとは箒川を左手に見ながらさかのぼる形になる。下流から滝をめぐって行くと、上記の本文どおりになる。 よほどハイキング好きでない限り、「布滝」は「竜化の滝」の遊歩道から見るので充分だろう。 ちなみに、道の駅で入手した地図による積雪のない標準的な所要時間は、 「竜化の滝」国道駐車場より片道20分 「回顧の滝」同じく、片道10分 「留春の滝」同じく5分 である。参考までに「布滝」の滝見台までは、雪道で行き30分帰り25分だった。 |
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リンク 塩原温泉 ただし、滝の情報はありませんでした。その他の観光の参考にしてください。 |