三滝、大滝
 氷瀑を求めて

三滝(みたき)


一の滝
自動車を降りてすぐに
見ることができる。
垂直の岩盤に氷がはりついて
いるようだ。



大きさ比較写真。
『倉科三滝園地』の案内看板の後ろがわ
から足跡が続いていたので、
それをたどって近づいた。
滝つぼまで行けた。
氷の表情が豊かだ。


二の滝
この滝は遊歩道からしか
見ることができなかった。
一直線に落ちていて、
氷が屋根のようになっている。


三の滝
どれが滝なのかさっぱり
わからないと思う。
全部滝です(笑)
三段になっていて、一番大きな滝
らしいのだが。


大きさ比較。
氷は薄くて上には乗れない。



大滝
遊歩道から撮影。
2枚を合成した。


大きさ比較写真の1。
裏見の位置から私が手を上げている。
滝の水は少ないので
写っていない。



大きさ比較写真の2。
タコ坊主のすぐそばに行ってみた。
右下に私がいる。
手で氷に触れている。
大きい時には10メートルにも
なるのだそうだ。
2004/2/11 
週のど真ん中にぽっかり休日になると、やることがたくさんあるようで別にしなくてもいいようで、どうにも放り出されたような気分になる。
どうせ今週末は土曜が休みじゃないし、天気予報は午前中珍しく晴天を告げているし、遊ぶなら明日しかないね、と、前日の午後11時に地図をめくりはじめた。
行くなら滝である。しかも、2月ということなら氷瀑である。しかし、あいにく新潟には近寄れる場所には氷瀑はない。
では近隣の群馬や長野はどうだろう。『日本の滝1000』(学研研究社)の長野、群馬のページをくまなく探して、この滝は冬には凍ると書いてある滝を見つけ出した。それが三滝である。
長野県で三滝と書くと北相木村の三滝が有名たが、こちらは『みたき』と読む。上信越自動車道の更埴ICからもそれほど遠くない。比較的新潟に近い長野にある。
と、いうことですぐに決定してしまった。
しかし、場所がいまひとつはっきりしないので、ホームページで検索して探していたら、T.Takさんの滝あるきというサイトにぶちあたった。そこには凍った三滝の写真は無かったのだが、もっとすごいものを発見してしまった。それが大滝の氷である。幸いなことに三滝からそれほど遠くない場所だ。これは見に行かなくちゃ。
毎度のことながら寝る前に思いついて、翌日の7時半頃の出発になった。

  三滝 長野県千曲市(落差三段合わせて20メートル?)
朝から本当によく晴れて、放射冷却のため少し凍結していたが高速道路は順調そのもの。9時過ぎには更埴を降りて、三滝のそばにあるらしい「あんずの里」を目指すことにした。このせいで少々迷うことになる。どうも「あんずの里」というのは広い場所らしくてどこに行ってもあんずの里の矢印がある。別の方向に行ってしまって、ガソリンスタンドで聞いたり戻ったりして「あんずの里」をめざすのをやめて県道392号をめざしてやっと目的地にたどりついた。
道路状況は比較的よい。途中の倉科という集落までは全く雪はなくドライである。しかし、集落を通り過ぎて、山道に入ると少し雪が残っている場所がある。そのため雪道用のタイヤかチェーンは必要だろう。またすれ違えない。ところどころにあるすれ違いポイントを憶えていて、必要とあればバックすることもしなければならないかもしれない。
真冬にそんな所に行く人はいないと思っていたら、どうもバードウォッチングの名所らしくて、巨大なレンズやデジタルスコープを装備した人がいたりするのだ。道路脇に三脚を立てて狙っているので、ひっかけないように注意が必要である。
しかし、滝には誰もいなかった。
県道392号の突き当りが倉科三滝園地というハイキングコースになっていて、自動車をとめられるスペースがある。雪でよく分からなかったが、3台くらいはとめられそうだ。ただし、除雪はされていないので、雪をものともしない自動車が必要である。
そこからすぐに一の滝が見える。おお、凍っている。それを見に来たのだから当たり前なのだが、感動する。
ただし全面結氷ではなくて、氷の下から水が流れているのが見える。これはこれで滝らしくて綺麗だ。少しずつ滝が凍って山のような氷柱を築くのではなくて、滝の表面が凍っていって、蓋をするような感じである。
一の滝の脇の階段を上って行くと二の滝が現れる。これは斜めの岩盤を一直線に落ちていく滝で、両側からの氷が成長して、覆いつくそうとしていた。
さらに登ると三の滝だ。ここまで来て、げっとたじろいだ。全面氷。しかもその上に雪が積もっていて、何が何やらさっぱり分からない。
近づいてみればその下に水が流れているのがわかって、ああ、滝なのだと理解できるのだが、遠くから見るとただの雪のくっついた崖である。せめて雪がなければ氷の全体像が分かるというのに。
写真になんかしたら、本当にわけのわからないものになってしまう。これは参った。
それでも、充分に堪能して、三滝を後にする。途中、樽滝の名前があったのだが、林道をどこまで登っても見当たらなかったので諦めてしまった。

  
いろいろな形の氷がある。

  
氷の下に水が流れている。

  
花の形に結晶した氷もあった。 

  
遊歩等の周りには無数の獣の足跡。

  
こちらは偶蹄目か?かなり大きい足跡。


  
大滝 長野県八坂村 (落差50メートル)
こちらの氷瀑は、三滝とは全くタイプが異なる。正確に言うと、これは氷瀑とは言わないんじゃないかというくらい面白い。
T.Takさんのページで一目見た瞬間にどうしても実物を見たくなった、タコ坊主である。
大滝のある場所は難なくわかった。国道19号から県道55号に入り、大町方面に向かい、八坂村に入ってすぐの大滝洞門を越えた右手にある。見つけづらいが看板も出ている。弘法橋から遠くに見えたので、なんとか近づけないかと橋のたもとの細い道に自動車を進めたら行き止まりだった。大昔に道路が崩壊したのかもしれない。滝についての説明版が雑草に埋もれていた。
しかし、近づく手立ては絶対にあるはずである。説明版にも傍らにお堂があると書いてあるし。あたりをうろうろとしていたら、行き止まりの看板のかなり手前に山に登る道踏み跡があるのに気がついた。雪の中、足跡もしっかりしている。雪といってもほんの数センチ程度で、長靴でなくても大丈夫だと思う。
山道を5分ほど登ると滝の前に着いた。
笑える。ぽっこりとした姿が本当にタコ坊主だ。
これが、まあ、さっき見てきた三滝とは全く別ものの氷のような真っ白な氷なのである。普通氷の温度が低くて、美しく透き通った青い氷を連想するが、こいつは低い温度で凍ったのか、空気を含みつつ凍ったのか、とにかく白い。氷というよりは雪の塊のように見える。
かなり高い位置から水が落ちてきて、タコ坊主の頭をびしゃびしゃと叩いている。
高い位置から落ちるが水量は少なく、水は風によってタコの右に行ったり左に行ったりしている。そのせいで尖がった氷にならないで、こんなふうな丸いぽっこりした形に凍ってしまうのだろう。お昼の12時半頃の撮影で、お日様がガンガンとタコに当たっていた。とけては凍り、とけては凍って徐々に成長していったのかもしれない。
 
 
真下から見上げて。

  
タコ坊主の正面から。

  
裏見の位置から。ステージに雨がそそいでいるようだ。

  
氷は白い。一応ツララではある。

滝は裏見の滝で、滝の裏側を通ることができる。裏側を通って行くと弘法大師を奉った古びたお堂がある。
こちらの斜面から無理やり氷まで降りられそうだったので、降りてみた。
面白い。近づいても面白い。
巨大なタコ坊主はとにかくユニークである。
写真を撮影していたら、風向きがこちらに変わって、青空なのに大粒の雨に当たっているようになってしまった。そそくさと退散。
いつものように、お堂の軒先を借りてコーヒーを入れた。
お堂にはなぜだか昭和43年の悪がきどもが日にちを入れたらくがきをたくさんしていた。今じゃあいい大人だろう。

  
お堂にはお日様が当たってあたたかだった。

凍っていない時でも、落差50メートルの滝はなかなか素晴らしい。水量がないが、時間によっては虹がかかると思う。滝好きには、ぜひこのタコ坊主、堪能してほしいものである。
 
交通
「三滝」  一番近いICは、上信越自動車道更埴ICである。が、そこから「あんずの里」をめざすと、とんでもない道につれて行かれる。我々はかなり迷ったので、充分な交通案内かどうか心配なのだが、とにかく県道392号倉科方面に進むように心がける。ICから国道18号線に出たら、戸倉、上山田方面に向かって進み、『粟佐』という交差点で左折する。『粟佐』の手前に『粟佐北』というのがあるので間違わないように。あとはしなの鉄道を渡り、新幹線と高速道路をくぐって、まっすぐである。
倉科の集落が終わりかかったあたりに下の写真の案内がある。ここで右。さらに進むと次の写真のようにY字に分岐しているので、ここも右。ここから先は林道になる。冬はここから先積雪や凍結があるので、冬タイヤかチェーンが必要である。
そのまま進んで、案内表示のとおりに進むと突き当たりに『倉科三滝園地』がある。
  

  
「大滝」  一番近いICは、上信越自動車道の麻績ICである。ここから国道403号を明科方面に進み、坂北村に入る少し手前で県道55号へと右折する。分かりづらいかもしれないが、403号を走っていて上信越道をくぐってしまったら行きすぎである。県道55号は、かなり細く、またかなり曲がりくねっている。しかも、トンネル工事があるのでダンプまで通る。一番距離は短いのだが、運転に自信のない人は豊科ICで降りて国道19号を利用したほうがいいかもしれない。
坂北村から生坂村に入り、国道19号を変則的に横切り(いったん右折国道に入り、すぐに左折する)八坂村に入る。すると大滝洞門というスノーシェッドがある。これをくぐるとすぐに新大滝橋という橋と弘法橋という橋が連続て出てくる。この橋の間、左側に目立たない看板で「八坂大滝」とあり、右側には駐車スペースらしい広場がある。ここからでも滝は遠望できる。
滝に近づくには、弘法橋を渡ってすぐ右側の細い道を入る。突き当たりは行き止まりで、使われていない橋のあたりに滝についての説明看板がある。
そこからかなり手前に県道を背にして左側の山に登る道がある。足跡があるので、見つけられると思う。登りだが5分もすると巨大なタコ坊主が目前に現れる。我々が行った日は自動車を降りるまでは雪はなかったが、山道に入って少し雪があった。しかし、ほとんど土の状態だった。


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